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「劇場版マクロスF 恋離飛翼~サヨナラノツバサ~」二周目

《2011-03-21》(過去ブログより転載)   

正直言ってそう綺麗にまとまらなかったので、感想っぽいのを箇条書きで垂れ流し。

注意以下、劇場版マクロスF「虚空歌姫~イツワリノウタヒメ~」「恋離飛翼~サヨナラノツバサ~」のネタバレを含みます。ご注意ください。また他のシリーズの作品は白字で書きますが、携帯から閲覧した場合は伏字にならない可能性があるので注意です。



・今回の「サヨナラノツバサ」は明らかに天の羽衣伝説を主題に作られている。
歌舞伎の公演項目がTVシリーズでは「桜姫東文章」だったのに対し、サヨナラノツバサでは「羽衣」に入れ替わっているのはもちろんだが、その他にも「サヨナラノツバサ」を「天の羽衣伝説」に繋げる要素が多々見られる。
wikipedia 羽衣伝説

羽衣伝説にマクロスFを当てはめると、当然のように天女はアルトな訳だが、ではその相手は誰だろう。ランカだと思う。
羽衣伝説には「水辺に白鳥が降りて水浴びをする」というシーンがあるが、TVシリーズのアルトとランカの出会い(森の中で着替えているアルト、スプリンクラー)はこれに近い。また、天女が羽衣を隠されるシーンも、アルトがランカにシャツを着せているシーンをイメージさせるかもしれない。

・トライアングラーの一角であるシェリルのポジションはどうなるのか。
彼女もまた、アルトと同じ天女だと思う。彼女がクライマックス直前で歌う「ノーザンクロス」。ノーザンクロスとは北十字星のことだが、つまりこれは「はくちょう座」。
元々、「トライアングラー」は三角関係、そしてアルト(=アルタイル、)、シェリル(=ノーザンクロス→はくちょう座→デネブ)、ランカ(=ベガ)という「夏の大三角」を示唆している。(ちなみに、アンタレス1であるブレラはさそり座か)

wikipediaによるとデネブは、“恒星としては最大級の明るさ”とある。また、“デネブは1年間に太陽質量の1000万分の8を失っており、約100万年で太陽質量を失うことになる”ともある。V型感染症を患って祈命を燃やして歌う(輝く)シェリルにはこれ以上ない星。

・今回の「恋離飛翼」というタイトル。これは「比翼連理」という中国の故事から来ているわけだが、
ひよく-れんり【比翼連理】
男女の情愛の、深くむつまじいことのたとえ。相思相愛の仲。夫婦仲のむつまじいたとえ。
▽「比翼」は比翼の鳥のことで、雌雄それぞれ目と翼が一つずつで、常に一体となって飛ぶという想像上の鳥。「連理」は連理の枝のことで、根元は別々の二本の木で幹や枝が途中でくっついて、木理が連なったもの。男女の離れがたく仲むつまじいことのたとえ。
三省堂「新明解四字熟語辞典」

つまり雄雌一身の想像上の鳥。はくちょう座であるシェリルと、わし座であるアルト。(ベガもアラビア名は「留まっているハゲワシ」らしいが、こと座ということで鳥とはみなさない)
表向きの『恋離飛翼』はランカとの、隠された『比翼連理』はシェリルとのことを言っているとか(^q^)
あと、アルトとシェリルが一つずつ持つフォールドクォーツが『それぞれがもつひとつの目』の暗喩とも考えられる。

相思相愛になった二羽の白鳥(はくちょう座としてのシェリルと、天女であるアルト)が飛び立っていき(いなくなり)ランカが残される、というのは『比翼連理』と『羽衣伝説』の合成したものみたいだなぁ。

・神話のワルキューレも「白鳥の羽衣を持ち、男にこれを奪われる」という話がある観点で言えば「天女」である。クライマックス曲である『サヨナラノツバサ -the end of triangle-』にも『ヴァルキュリア』という単語が頻出するし、またマクロスシリーズの必須ファクターの「バルキリー」も同様。

・今回の三枚のキーヴィジュアル、「歌は魔法」は『歌』、「歌は祈命(いのち)」は『戦争(バルキリー)』、「歌は死なない。」は『三角関係』を表してる。多分。

・「HARD LUCK GLAMOUR」とは?
「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか」で、未沙が解読した歌詞をミンメイが歌うというシーンがあるが、そこのなぞりでそう深い意味のあることじゃないのかな?
前作品のオマージュという点では、ブレラvsアルトのシーンはマクロスプラスっぽい。

・「イツワリノウタヒメ」は「サヨナラノツバサ」の為のタイトル。

・マクロスゼロとか
今回のラストの構図、マクロスゼロの「シンの伝説」に近いわけだが、どちらかというとゼロの中に出てきた壁画(アリエス・ターナーが最後に持っていた写真)の方のなぞりっぽい。多分、プロトカルチャーと"鳥の人"のやつ。
そういえば、アルトの最後の言葉が「愛してる(だと思う)」なのに対し、アリエスが最後に「世界を救うのは簡単なこと」「愛してる」と言っている

・グレイスさん、ランカと面識あった割には、容赦なかったなぁ。当時はインプラント云々はどうだったんだっけ?
あと、あのギャラクシー船団の黒幕っぽいやつの女の子の声可愛い。

・「禁断のエリクシア」のライブは何度見ても楽しいなぁ。ランカちゃんあんまり好きじゃなかったけど、「虹色クマクマ」「星間飛行アルカトラズ」「放課後オーバーフロウ」どれもよかった。

・TVシリーズではシェリルが「劇場版ミンメイ」、ランカが「TVシリーズ版ミンメイ」をイメージしたらしいが、今回はランカは「劇場版ミンメイ」っぽいなぁ。問題はシェリルがどうなるかって話だけど、未沙ではないよなぁ……。
個人的にはサヨナラノツバサでは共に「劇場版ミンメイ」で、ランカがようやくシェリルに追いついたって感じがするけれど。

・ラスト
紙飛行機が最初(シェリルのシーン)と最後(ランカのシーン)にあって、意識不明状態のシェリルがランカの歌にそって口ずさむシーン。その時光る、フォールドクォーツ。好意的に解釈したら、シェリルの意識が戻り始めたのはアルトが帰ってくる暗喩で、スタッフロール中の「dシュディスタb」はその後のライブ音声ってことかしらん。
まあしかし、なんというかこれで帰って来ないのもそれはそれでアリだと思う。
シェリルさん派の俺大歓喜




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