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「劇場版マクロスF 恋離飛翼~サヨナラノツバサ~」を見てきましたよ。

《2011-03-08》(過去ブログより転載)   

というわけで、「劇場版マクロスF 恋離飛翼 ~サヨナラノツバサ~」を見てきました。
いやぁ、本気で面白かった。あんまり映画って観に行かないんだけど、これはもう一度観たくなった。

▼こっから個人的な行動レポ。まだ感想じゃないよ。

映画館に上映開始三時間前についてしまった僕は困った。もちろん三時間前から行く予定はなかったし、元々用事の帰りだったから仕方なかったのだけど。
最初の30分は買い物で潰した。「サヨナラノツバサ」のパンフレット。パンフなんか、TRICK劇場版以来ですよ。後ほど、このパンフレットが妙なことに役立つとは。
あとメタルチャーム二つ買った。オオサンショウウオさん缶と、たい焼き缶。シークレット目当て(分かる人ならなんでか分かるはず)だったけど、当たったのはオオサンショウウオさんと、シェリルさんのキービジュアルにある旗(エール・ド・リュミエール)。

さて、数時間あるぞ……。
しかたなしにソファに座って小川勝己「葬列」を延々と読みふけるあじさい。どう考えても変な人だし、しかも300ページまで読めたというアレっぷり。しかたなしというか、計画なし。とってきた「ブラック・スワン」の広告見て、高まる

いよいよ入場。このメンツというかこの客層で「高校デビュー」の宣伝とか空気のしらけっぷりがマジですごかった。あとサイレンの人×映画泥棒の薄い本はまだですか?

▼ネタバレなしの感想。
「イツワリノウタヒメ」から、よくここまで上手にまとめたなと。
多少駆け足だが、TVシリーズで説明不足だったあたりやちょっと訳のわからなかったところの補完をなされてたかな。そして、さすが25周年記念作品(もっとも、もうちょっとで30周年だけど)の劇場版というべきか、色々な意味で集大成。シリーズファンならばニヤリとする演出も用意されています。
正直、今回の劇場化も「イツワリノウタヒメ」を見てる時は「ああ、やっぱ総集編っぽい感じかやっぱり」と思ってたのだけど、「サヨナラノツバサ」は設定とキャラクターを使った新作と言っていいんじゃないかってくらいのテンションの上がり方。どうしてこんなことになった。
感覚的にはTVシリーズのFを落ち着いて俯瞰してみた結果の「足りないところ」と「ファンが望んだこと」と「スタッフのやりたかったこと」がふんだんに混ぜ込んであって、お祭りのようだった。
「イツワリノウタヒメ」でもそうだったんだけど、今回も歌の使い方・盛り上げ方が上手い。結構なペースで歌パートが挿入されるから、オペラ的な雰囲気すらある。
あのランカちゃんのキービジュアル出たとき、誤字とか「歌は魔法」とか???となっていたのに……とてもいいアニメでした。テンション今ヤバイ。


以下、ネタバレです。

※以下、劇場版マクロスF「虚空歌姫~イツワリノウタヒメ~」「恋離飛翼~サヨナラノツバサ~」のネタバレです。 また他のシリーズの作品は白字で書きますが、携帯から閲覧した場合は伏字にならない可能性があるので注意です。







▼ネタバレ感想

いやあ、絶対にランカちゃんとくっつくと思ったのに! あのキービジュアルにやられた!!
「イツワリ」がシェリルさんメインのキービジュアルで、今度はランカちゃんだったから「ああ、これはアルトきゅん、ランカちゃんとくっつくのか」と思うじゃないっすか。リア友とも車の中でそんな話ししたわ。

僕「俺シェリルさん派なのに……」
友人「ランカ派の俺大勝利」


「イツワリ」がシェリルさんメイン話っぽい雰囲気だったのは、そういうことだったのね。シェリルさんとくっつける算段だったのね!
今回のキービジュアル三枚、「歌のランカ」「戦争のシェリル」「アルト・ランカ・シェリル」ってマクロスの三大テーマである「歌」「戦争」「三角関係」を表してるんだろうなぁ。
そんで最後の三人のビジュアルの花嫁、よくよく考えると冒頭でシェリルがウェディングドレス着てるし、顔隠れてるけどいまはもう彼女にしか見えない。髪の毛が足りないと思うけど、シェリルの軍服バージョンで「髪が短くなる」ことが示唆されてたからそれを上手いこと使ってるなぁ。

TVシリーズで完全なご都合展開(!)だったあの「V型感染症」とか、フォールドクォーツ、インプラントのあたりを一度解体、再構成して一本の芯として通したシナリオになってたのも好印象。
今回の「サヨナラ」のシェリル昏睡・アルト行方不明というメインキャラクターの不在EDは劇場版にふさわしい。
「死亡フラグ立てまくってたけど、どうせ主人公補正で死なないだろ」って思ってたらこんな状況に。いい意味で裏切ってくれた。
TVシリーズがハッピーエンドなのと対象的に、今回はシェリル昏睡・アルト行方不明・ランカ失恋とメインキャラは全員何かを失っている点も、こういう話好きには。

そうアルトだよ。
TVシリーズのアルトはぶっちゃけ撃墜されまくり最終回なんかブレラに助けてもらってた(たしか、VF-27一般機に撃墜されそうになってたんだぜ姫!)のに、今回は全体的にイケメン過ぎて。
ミシェルの「もう姫とは呼べないな」のあたりは涙が。このあたり、多分スタッフが気にしてたんじゃないかなと思う。だが、あのゴスロリファッションはなんだったんだ。
でもあのシーンあたりからだ、アルトが覚醒して姫とは思えなくなったのは。「イツワリ」のあのシェリルさんのジェットくっつけてたってのも伏線っぽくてよかったし、なんかやられてた印象の強いアルトが見張りを蹴散らしてたのも(ゴスロリファッションでだ!)。

キャラクターで言えばランカちゃん。すごくいい子になってた。シェリル派の僕が、監獄でのシェリルとの会話とライブシーン、告白シーンで浮気しそうになった。
監獄での「星間飛行」、あそこで「キラッ☆」ってやらずに観客を盛り上げるランカちゃん、やっぱりTVシリーズよか成長してる気がした。
「放課後オーバーフロウ」の歌詞はアルトを思って作詞したらしいけどすごく好きな歌。この歌詞、ある意味ネタバレなんだけどね……「東の空 空の向こうに君は…」って……。

シェリルさんはいい意味で相変わらず。トップから底辺、そしてそこから立ち直るバイタリティは彼女らしさ。全編に渡って彼女の強さ・弱さと描かれて、安定していた。
幼女シェリルはむちゃくちゃ可愛かった。アルトも負けずに可愛かったという奇跡の共演。
グレイスはともかく、兄さん歳とってねぇ。

オズマとブレラの戦いは、共にランカの兄なんだよなぁ。TVシリーズではほとんどやりとりなかった(あったけど、記憶になかった)ふたりだけに、今回のお祭り要素を高めてる。もちろん『アレ』とか『アレ』もだが、それは後述。
にしても死亡フラグ立てまくってたオズマにしてもミシェルにしても、よく死ななかったなぁ……。あのEDで誰かがいなくなってたら、ちょっと食傷気味だからか、それかあくまで『三人の物語』だからか。

印象が変わったキャラクター、一番はやっぱグレイスだよなぁ。泣きそうになった場面(!)はグレイスをシェリルのシーン。そうだよなぁ、グレイスってシェリルの育ての母親みたいなものだし……。
何気に「イツワリ」の最後でシェリルの歌を艦内に飛ばすことしてたし、「サヨナラ」の最後の舞台を整えたのも彼女。思惑はあったとしても、グレイスはシェリルをどうしても歌わせようと尽くしてたんだなぁ。

ライブパートは文句のつけようがない。
戦闘シーンの音楽部分のメドレーも、「オベリスク」「ギラサマ」「バニー」などが織り込まれて、戦闘CGと相まってこれでテンション上げるなというのが無理。
「サヨナラノツバサ -the end of triangle-」(だっけ)は、これCD版でもシェリルが最後に「愛してる」って歌うのかな。これはもう完全にネタバレな気がするし、アルバムは映画公開から結構経ってから発売されるらしいし。(追記:歌ってた)
「ノーザンクロス」のアカペラアレンジの部分も、本当にスワンソング的な印象があって燃えた。今、歌詞みると泣く。
あと「禁断のエリクシア」の演出エロイ。注射器とかナースとか。僕好みのプr

▼他作品との関連
無印マクロス。
無印のパロディやオマージュはそうなかったように思える。というか、ミシェルとクランの関係など、もともと無印のなぞりをTVシリーズからやっていたから。ただ、ランカではなくシェリルを選んだあたり、ミンメイではなく未沙を選んだ輝っぽい気はする。

マクロスプラス。
これはもう圧倒的にイサム本人の登場。セリフはたった一言だが、あまりの出来事に鳥肌総立ち。YF-19かは確認できなかった(年代的にYF-19なのはちょっとおかしいけど、お遊びとしてはアリ)が、パンフレット(ここで役に立った)でも「イサム 山崎たくみ」とあり。
シャロン・アップルの名前は、歴代の歌い手たちと一緒に「イツワリ」で言われてたけど、当の一般市民からしたらある種の戦犯であるシャロンってどんな扱いなの……。

マクロス7。
これはもう、ファイヤーボンバーのあのコスプレ。バサラミシェルにミレーヌクラン!
また、ランカちゃんのライブで赤いバルキリーに乗ってるシーンがあって、その時の衣装もマクロス7時代のっぽかったんだけど、このあたりはよくわからない。赤いバルキリー、バサラのVF-19改ファイヤーバルキリーかと思ったけど、形が結構違う……。

マクロスゼロ。
ランカちゃんがマオの関係者で、そこからふたりの「アイモ」で繋がるあたりは「イツワリ」でも語られてた。
それより、ゼロとの共通点はやっぱりアルトがバジュラクイーンとフォールドしたところだと思う。実際、あのシーンは結構似てる。
もともとゼロの「鳥の人」はプロトカルチャーがバジュラクイーンを模して作ったもので、マオ(シェリルはマオの子孫)が残されて鳥の人(バジュラクイーン)と共にいなくなるシン(アルト)という構図はなんとも暗喩的だ。
また、無事ひとり残ったランカがTVシリーズで、マオ役をやってたのも因縁っぽい。

「サヨナラノツバサ」では過去作のキャラクターがちょっと関わってたりした。
これは序盤後ろのほうで映像として流れてた「ブラック・ジャック」「鉄腕アトム」、また「ヒョウタンツギ」といったキャラクターの登場は、手塚治虫先生の『スターシステム』へのオマージュってのは穿ち過ぎか。(正確に言うとスターシステムとはちょっと違う気がするけど、イサム・ダイソンはそれっぽい)

よく2時間でここまで詰め込んだなぁと、本当に思う。



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