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3DS「ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー」(SQUARE ENIX)

《2014-02-09》   


注意以下、「ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー」の終章・真終章のネタバレを含みます。ご注意ください。



 「これはFFであって、FFでない」と言うとおり、Flying FairyからFFを抜くと『Lying Airry』…… すなわち、終章における『嘘つきエアリー』というタイトルそのままになっているというニクイ演出。 そしてあのシュタインズゲートを手がけた5pb.の林直孝氏お得意のタイムリープ・ループ構造のシナリオが光るRPG (ラスボスの技に「ダイバージェンス」というものがあってニヤリとする)。
 特に前の世界で救えなかったイデアたちを、幾多の経験で強くなった「リングアベル」(おそらく)  が救いにくる真終章でのエピローグは胸が熱くなる。
 また、クリアするには「クリスタルの破壊」という、『プレイヤーの能動的な行動』を必要としたり、 真終章における『神界』と多重世界(他プレイヤーの世界)からの助力といった、ある種メタRPG(あるいはアンチRPG)となっている。
 『神界』はプレイヤーの『現実世界』なわけで、その伏線は意外と至るところに配されていた。 例えばはじめのAR演出、召喚獣が現実世界での技術がモチーフになっている(「プロメテウスの火」は電車だし、「スサノオ」は送電塔だ)、 ラストダンジョンの背景に本来世界観的に存在しない信号機がある、など。
 そして真終章のラストのティズの言葉、「借りてたものは返さないとな」は、おそらくプレイヤーに向けての言葉であろう。 プレイヤーの介入は、大穴が空いたところから始まる。そこでティズは本当は死んでいた……とまでは言わないが、 少なくとも自身の力だけでなくプレイヤーの能力を借りていた、ということになるのだろう。
 3DSはプレイヤーの操作自由度がある程度広く作られている。そのハードのシステムを上手く使って、元来のRPGの枠をひとつ超え、 単に『プレイする』というものを拡張せしめた、メタRPGとしてとてよく出来ている。

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