baselineReview/Game

PC「クロウカシス 七憑キノ贄」(Innocent Grey)

《2013-12-12》   
[ADV]

妄執と狂気に至る愛が最高に良かった「カルタグラ」、ミステリかと思いきや超展開「PP-ピアニッシモ-」、某本格ミステリをまんまエロゲライズした(冬子は本家より可愛いが)「殻ノ少女」に続き、四作目(FD入れたら五作)となる「クロウカシス」。

雪の館CC(クローズド・サークル)モノ……七月家に伝わる七つの呪い……塔に住む歌う少女……。(よく考えたら「CAUCASUS」もある意味CCと略せる)

やはり幾分か某作品群の影響強いなぁという印象。名前に色が入ってるのもだけど……某ミステリの影響、ここでもか。
余談だが、プレイヤーの名前を変えられる機能がついてるから『紫藤はるか』でやったら、世界観に微妙にマッチしてて一族の繋がりが疑われるというレベルになってしまったのは以下略。

本作はいわゆるギャルゲーに代表するシミュレーションというよりは、コマンド+マウス方式の探索ゲー・脱出ゲームに近いシステム。これが微妙にクセ者で、各移動に時間消費がある。自分で探索してる感は出ているのだけど、これのお陰でフラグ管理が大変なことに……。


音楽・原画


音楽はやはりlittlewingのMANYOさん、霜月はるか嬢のボーカル曲『snow drop』を始めとして上質の一言に尽きる。

原画は安定の杉菜水姫さん。氏のファンなら文句はないのではと(筆者は何気にイラスト集『濡烏』も持ってたりする)。強いて言うならプリーツスカート勢が少ないかな、とは思ったが舞台設定から考えても、なに、仕方ないことだ。


キャラクター


キャラクターについて。イノグレ作品で私の好きなキャラクターは軒並み死ぬ、という伝統がある(高校生の頃にやったコンシューマ版『カルタグラ』から、数年間「まただ……また死んだ……」を繰り返されてる)ので、あまり好きなキャラについて語りたいけど言えないというアンビバレントな感情を持ちつつ、今回はあえて言わせてもらう。

当然のように紅緒さん一択。あらゆるポイントがもうツボ。
…………さて、今回はどうなるのか……というのは置いといて。


シナリオ


で肝心のシナリオ。シナリオは、大筋で二つに分けられる、と思う。一人目の犠牲者までは共通ルートだが、そこから『各ヒロインルート』と『ミステリルート』に分岐する。

『各ヒロインルート』は各ヒロインを防衛・攻略しつつ、事件もほどほどに……悪しく言えばやや雑に……解決して、それぞれのヒロインの後日談へ、という形。該当するルートが五つほどあるのだけど、事件解決に至るまでがほぼ共通で、違いがフラグ立てる為のイベントとエロイベントと後日談だけ、というのはちょっとキツイ、かな。フラグ立て終わりから後日談までの共通が長いので、作業感も高い……。とはいえ、このあたりのルートで微妙に伏線も配されているのは高ポイント。

一方、ミステリルート。真相究明するのはこちらのルート。こちらも大きく三つほどのパターンがあり、各ヒロインルートの流れを踏襲しつつ、犯人を探っていくメインルートとも言えるルート。
こちらのルートではわりかしロジカルに進められる(が、おそらく一周目でこういう解決が可能な人間はほとんどいないのでは……)のが好印象。

ちなみにある人物が死ぬと、大抵バッドエンドになる模様。


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総括


『殻ノ少女』をプレイしたあとに『クロウカシス』の広告見て、「うっ……某ミステリ……」と思ってしまって、やはり実際はその勘が当たってしまったというのはあるのだけど、思ったよりもその要素は少なくてやや安心。

システムがちょっと複雑(というかエンターキーで進める派からすると、マウス移動が面倒臭い)だったり、共通ルートが多い(一応、時系列チャートは用意されてるものの、何が起きたかなどは表示されないただの線なので、スキップとかセーブ&ロードを使ってると頭の中で「~が起きてるんだっけ、起きてないんだっけ」とごちゃごちゃになる)などの難点はあるし、正直そこまでの派手はないが、ミステリ的にそれなりに面白いものはあるのでは、というところ。





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